以下、「山梨市の歴史文化の特徴」(山梨市文化財保存活用地域計画)より。
養蚕は現在では行われていないが、江戸時代から昭和にかけて、甲府盆地東部は甲州における養蚕地帯として知られていた。
元禄年間(1688~1704)から西陣織物の原糸として、京都への「登せ糸」生産が古来のこの地域における養蚕業の発達を促進したことにあった。
養蚕の発達とともに民家も独特の進化をとげ、各時代の特徴的な切妻民家が数多く残されている。明治期には「甲州切妻型」と呼ばれる棟の中央を持ち上げた「突上げ屋根」を設けた家屋で養蚕が盛んに行われていた。
市内の道祖神場などの多くには「蚕影山や蚕神を祀った石碑」が建立され、道祖神祭の際に繭の形を擬した団子を作るなど信仰面でも特徴的なものが残されている。
昭和30~40年代に伝統的な米麦養蚕からより商品価値の高い果樹栽培に大きく転換している。
●七日市場公会堂前/山梨県山梨市七日市場336
●蚕影山石塔/山梨県山梨市七日市場155
●大井俣窪八幡(一の鳥居付近)/山梨県山梨市北654
同上、蠶󠄂影山 石塔、裏の建立年号書き(明治40年代)
(赤城)
●石尊山前/山梨県山梨市中村15
●若松神社/山梨県山梨市上ノ割1
「蚕影山」裏面には「元治元年」1864年3月、慶応の前ですね。
山梨市は若松神社の本殿裏に建立されていました。
そっか~「蚕影山」か~
「山」は仏教寺院などの「山号」とすれば神ではなくて仏系の表現なのだろうか。
各地で明治以降の蚕影山を見掛けるので廃仏毀釈の対象にはならなかったんだと理解すべきかな。
(土橋)
以下、山梨県山梨市の蚕神塔です。
山梨市の特徴は丸石道祖神と同居することが多いです。
(土橋)
●誉田別神社(参道入口)/山梨県山梨市下井尻203-1
●天神宮/山梨県山梨市三富上柚木259
●蚕影山石塔/山梨県山梨市小原東120-10
●山梨県山梨市落合693-1 35°40’56.7″N 138°39’56.4″E
蚕神塔の文字があまりにも達筆だったので投稿します。
「蠶靈供養塔」
塩山 椎+心 隠を検索しても出てきません。
暦銘は背後に明治40年7月15日とあります。(花岳院は当地で廃寺)
この日付を見てハッとしました。
この蚕神塔を建立した2箇月後に山梨では大水害が起きます。
明治40年8月22日から27日までの5日間大雨が降り続きの大水害となりました。
総降水量は甲府で315.4mm、大月で718mm、山中湖で643mm、南部で469,3mm、鰍沢で305mm、西山で52.2mm、韮崎で404mmまでに達しました。
この大雨により、死者233人 流出家屋12000戸 埋没や流出した宅地や田地:650ヘクタール
山崩れ:3353箇所 堤防の決壊・破損距離約:140km
道路の流出や埋没、破損距離約:500km 倒壊した電柱:393箇所
この蚕神塔を建立した事によって災害を呼んだと言われなかった事を願うばかりです。
まあ、とっても過去の事ですが。
●神部神社/山梨県山梨市上神内川920
●橋立神社/山梨県山梨市大野722
●妙正寺墓地/山梨県山梨市東後屋敷984
●蚕神石塔/山梨県山梨市北636
●蚕神社石塔/山梨県山梨市北667-3 民家角地
●蚕影山石塔/山梨県山梨市牧丘町窪平166
●若宮神社/山梨県山梨市牧丘町窪平627