◆「美しき努力の賜物 座繰り糸」
皆さんは「座繰り」をご存知ですか?繭を煮ながら座繰り機を使って手作業で糸を作る方法です。
実は、ニホンものづくりフィルムアワード2024というドキュメンタリー映像のコンテストがありまして、自主制作した作品を提出していました。NHKを離れてから16年ぶりに作った映像作品です。1次審査を通過しお知らせが届き、喜んでいたのもつかの間、残念ながら受賞には至りませんでした。しかし、1次審査を通過すると特設サイトに動画を掲載していただけます。その掲載が昨日からスタートしました。ぜひカイコローグの皆様にもご覧いただきたいと思い、投稿させていただきました。
タイトル「美しき努力の賜物 座繰り糸」
主人公は群馬県の安中市で「蚕絲館」という工房を営みながら、座繰り糸を作り続けている座繰り糸作家、東宣江(ひがし のぶえ)さんです。東さんとの出会いは20代の後半。私がNHK前橋放送局でキャスターをしていた頃でした。東さんは私の2歳年下で、当時、群馬県の赤城山で座繰り糸を作っているおばあちゃんたちに憧れて、住んでいた京都(出身は和歌山県)から移住してきたばかりでした。昼間は碓氷製糸で働き、夜は女子寮で座繰り糸作りの練習をする日々。紆余曲折ありながらも、現在は独立し、養蚕をしながら座繰り糸作家として生計を立てています。私のナレーションもちょっぴり入っていますが、大半は東さんに語っていただいた内容でまとめました。ぜひご覧ください。
私は以前、Webメディアの「ものづくり新聞」に碓氷製糸株式会社の現状を取材した記事(日本の生糸 最後の砦「碓氷製糸株式会社」)も書いていますが、同じように今の日本の製糸業の現状を知ってもらいたいと思って作った動画です。より多くの人に関心を持ってもらえるようにコンテストに応募しました。東さんがおばあちゃんになるまで座繰りを続けられることを願っています。
(撮影・編集・企画:小柴 寿美子)